DeFi、NFT、そして Web3 のゲームについて耳にしたことがあるかもしれませんが、それらはすべて、スムーズなウォレット接続がなければ機能しません。トークンを取引したり、デジタルアートをミントしたり、ブロックチェーンゲームに参加しようとしても、複雑な統合画面でつまずくこともあるでしょう。WalletConnect は、あらゆるウォレットとあらゆる分散型アプリ（dApp）をつなぐオープンソースのブリッジとして、これを解決します。QRコードをスキャンするかディープリンクをタップするだけで、拡張機能や複雑な設定なしに、Web3の力を最大限に活用できます。

 

この記事では、WalletConnect の概要、誕生の背景、主要な機能と利点、仕組みを詳しく解説します。さらに、ネイティブトークン（WCT）の役割、DeFi・NFT・ゲームにおける実際の活用例、高度な機能や今後のロードマップ、そして注意点やセキュリティに関するアドバイスについても紹介します。

 

WalletConnect（WCT）とは？

WalletConnect は、単一のオープンソースプロトコルを使って、どんなウォレットでもどんな分散型アプリ（dApp）にも接続できる Web3 のユニバーサルコネクターです。カスタムコードやブラウザ拡張は不要で、開発者は標準APIを一つ実装するだけで済み、ユーザーはシームレスな接続を体験できます。これまでに WalletConnect は3,800万以上のユニークなアクティブウォレットをサポートし、2億4,000万件以上の接続を提供、57,000以上のアプリと統合しています。

 

初期のWeb3では、各dAppが複数のウォレットに対応するためにカスタム統合を行う必要があり、開発者の工数がかかり、ユーザーも対応ウォレットが見つからずに苦労することが多々ありました。WalletConnect は、このような断片化を解消し、統一された接続方式を提供します。開発者は1つのAPIを呼び出すだけで、ユーザーはサポートされているウォレットをすぐにdAppに接続でき、Web3全体の体験がスムーズになります。

 

WalletConnectの主な機能

 

WalletConnect Network 参加者の概要 | 出典：WalletConnect ブログ

 

1. UXの課題解決

WalletConnect は MetaMask のような拡張機能を不要にし、デスクトップ上でdAppsと追加プラグインなしでやりとりできます。モバイルファーストな体験をPCでも実現でき、スマホのウォレットで取引を承認するだけでOKです。ワンクリック接続、つまりQRコードをスキャンするかディープリンクをタップするだけで、すぐに接続できます。秘密鍵の管理や面倒なセットアップも必要ありません。

 

2. チェーン間の相互運用性をサポート

WalletConnect はチェーンに依存しないプロトコルとして設計されており、Ethereum、Solana、Cosmos、Bitcoinなど、さまざまなネットワークでシームレスに動作します。開発者は、標準化されたペイロードフォーマットによって、一度ロジックを書けば、すべてのブロックチェーンで機能させることができます。新しいチェーンが登場しても、追加の開発作業なしで同じプロトコルに統合可能で、ウォレットはあらゆる場所で使用できます。

 

3. セキュリティとプライバシーの実現

ウォレットとdApp間のすべてのメッセージはエンドツーエンドの暗号化によって保護され、取引の詳細はあなただけとアプリのみが確認できます。リレーネットワークはアドレスやデータを見ることがなく、データ収集やプロファイリングのリスクがありません。また、このプロトコルは分散型のサービスノードとゲートウェイノードのネットワーク上で稼働しているため、単一障害点は存在せず、接続は耐障害性があり、検閲に強い構造になっています。

 

WalletConnectの実用例

• DeFi 取引：Uniswap、Aave、Curve、SushiSwapなどに接続し、スマホのウォレットで直接トレードを署名可能。ブラウザ拡張や秘密鍵の手動入力は不要です。

 

• NFTマーケットプレイス：OpenSea、Magic Eden、Rarible などでのNFT購入・販売・ミントが可能。ウォレットはデバイス内にとどまり、画面上で表示される取引だけを承認します。

 

• ソーシャルアプリ & ゲーム：Web3ソーシャルプラットフォームやオンチェーンゲームでは、WalletConnect によるログインが可能。ユーザー名やパスワードなしで、ウォレットだけで完結。ゲーム内購入やソーシャルアクションも即時承認されます。

 

WalletConnectはどのように機能するのか？

高いレベルで言えば、WalletConnect の接続は、dApp がQRコードまたはディープリンクを生成するところから始まります。ユーザーはQRコードをモバイルウォレットでスキャンするか、ディープリンクをタップして接続を開始します。

 

接続が開始されると、WalletConnect はウォレットと dApp 間で暗号化されたチャネルを確立します。その後のすべてのリクエスト（トランザクションの署名やメッセージなど）は、ノードのリレーネットワークを通じて送信されます。各リクエストはウォレットアプリ上に表示され、承認または拒否を選択できるため、ユーザーはすべてのオンチェーン操作を完全にコントロールできます。

 

QRコードとディープリンクの選択は、使用するデバイスによって異なります。デスクトップからモバイルへの接続にはQRコードが最適で、ウォレットアプリのカメラでスキャンします。モバイル間の接続では、ディープリンクをタップする方法が適しており、ウォレットアプリが直接起動します。どちらの方法も暗号化された同一のペイロードを使用し、ユーザー体験に一貫性があります。

 

WalletConnect のリレーネットワークは、従来のブロックチェーンというよりも、高性能なパーミッションレスデータベースに近い構造です。

 

• サービスノード：暗号化されたメッセージをオフチェーンに保存

• ゲートウェイノード：トラフィックをルーティングし、水平方向にスケーリング可能

• Rendezvous ハッシュ：低レイテンシーと負荷分散を実現

 

重要なのは、リレーネットワークがデータを復号化することは一切なく、あなたのウォレットと dApp のみが暗号鍵を持っているという点です。このアーキテクチャは、ブロックチェーンの分散性と Web2 の速度・信頼性を兼ね備えています。

 

WalletConnectの使い方：ウォレット接続のステップバイステップガイド

WalletConnectは、デスクトップ、スマートフォンのモバイルアプリ、またはweb3対応のスマートフォンdAppとして利用できます。以下の簡単なステップバイステップガイドに従って、WalletConnectの使用を開始しましょう：

 

デスクトップ → モバイルウォレット

1. dAppで接続を開始：ブラウザで分散型アプリ（dApp）にアクセスし、「ウォレットを接続」をクリックして、オプション一覧からWalletConnectを選択します。

 

2. QRコードを表示：dAppはすぐにユニークなQRコードを画面に表示します。このコードには、安全なリンクを確立するために必要なセッション情報が含まれています。

 

3. モバイルウォレットでWalletConnectを開く：スマートフォンで、お好みのWalletConnect対応ウォレット（例：Trust Wallet、Rainbow、Argentなど）を起動し、メニュー内のWalletConnectオプション（「接続」または「設定」内にあることが多い）を探します。

 

4. QRコードをスキャン：ウォレットアプリ内のカメラを使って、デスクトップに表示されたQRコードをスキャンします。ウォレットが暗号化されたセッションデータを読み取ります。

 

5. セッションを承認：ウォレットに接続要求の概要（dAppの名前と要求されている権限）が表示されます。詳細が期待通りであることを確認し、「承認」をタップします。

 

承認後、モバイルウォレットは安全にデスクトップdAppとリンクされます。以後、dAppからのすべてのトランザクションや署名リクエストはスマホに通知され、各アクションを確認して承認できます。

 

デスクトップ → デスクトップウォレット

1. dAppでWalletConnectを選択：dAppのウェブサイトで「ウォレットを接続」をクリックし、WalletConnectを選びます。

 

2. デスクトップウォレットに切り替え：QRコードのモーダル内で「デスクトップ」タブを探してクリックします。これにより、WalletConnectに対応したデスクトップウォレット（Brave Wallet、Ledger Live、MetaMaskのデスクトップ版など）のリストが表示されます。

 

3. 選択して接続：お使いのデスクトップウォレット名をクリックし、「接続」を押します。dAppはそのウォレットに直接接続リクエストを送信します。

 

4. ウォレットアプリで確認：ウォレットアプリが自動で起動しない場合は手動で開いてください。新しい接続の承認を求めるプロンプトが表示されます。dAppの名前と権限を確認し、「確認」をクリックします。

 

この手順で、モバイルデバイスを使用せずにデスクトップウォレットをdAppにリンクできます。すべてのトランザクション承認および署名リクエストは、デスクトップウォレットのインターフェース内で処理されます。

 

モバイル → モバイルdApp

1. スマホでdAppを開く：モバイルブラウザまたはdAppのネイティブアプリで、「ウォレットを接続」をタップし、WalletConnectを選びます。

 

2. 自動ウォレット選択：デバイスがインストール済みのWalletConnect対応ウォレットを検出し、選択ダイアログに表示します。

 

3. ウォレットを選択：使用したいウォレット（例：MetaMask MobileやCoinbase Wallet）をタップします。

 

4. 接続を承認：選択したウォレットアプリが接続要求画面を開きます。dAppの詳細（名前、要求権限、発信元）を確認し、「接続」をタップします。

 

これで、同じデバイス上のウォレットとモバイルdAppがリンクされます。トランザクションの署名、メッセージの承認、アカウント管理など、ウォレットアプリを離れずにシームレスに操作できます。

 

WCTのご紹介：WalletConnectトークン

WalletConnectトークン（WCT）は、WalletConnectネットワークを支えるネイティブなユーティリティおよびガバナンストークンです。このトークンは、ステーキング、ガバナンス、報酬という3つの主要機能を支え、ネットワークの分散性と回復力を強化します。

 

1. WCTをステーキングすると、サービスノードまたはゲートウェイノードを運営できます：一定量のトークンをロックし、タイムロック期間を設定することで、ノード運営者は暗号化されたメッセージを処理し、トラフィックをルーティングする権利を得ます。

 

2. ガバナンストークンの保有者は、プロトコルのアップグレード、料金構造、UX標準など、重要な決定について提案および投票ができます。

 

3. 最後に、報酬はWCTでノード運営者に分配されます。アップタイム、レイテンシ性能、コミュニティへの貢献などに基づき、ネットワークの健全性を支える参加者に公正な報酬を提供します。

 

 

WCTトークンは2025年4月12日にBingXプレマーケットで上場され、BingXでのWCT/USDT現物取引が開始される前にWCTを早期に売買することができます。

 

WalletConnectのトークン経済

 

WalletConnectトークン配分｜出典：WalletConnectブログ

 

初期供給量は10億WCTで、以下のように割り当てられます：

 

• 27%：WalletConnect財団に割り当て、助成金、エコシステムの拡大、セキュリティ監査に使用；
• 18.5%：中核チームに割り当て、4年間のベスティングスケジュール（一年のクリフ付き）；
• 18.5%：ユーザー、ウォレット、アプリ、ノード運営者への季節的なエアドロップに確保し、ネットワーク参加を促進。

 

WCTエアドロップの受け取り方法

以下のステップに従って、ご自身がWalletConnect Token (WCT) シーズン1の エアドロップ を Optimism 上で受け取る資格があるか確認し、受け取ってください。

 

1. 初期設定

• 公式エアドロップページにアクセス：airdrop.walletconnect.network にアクセスしてください。
• ウォレットを接続：Check Eligibility をクリックし、OptimismのOPメインネットに対応したウォレット（例：MetaMask、Trust Wallet）を接続してください。対応ウォレットの一覧は WalletConnect OP Wallets ガイドをご確認ください。
• 利用規約に同意：続行する前に、エアドロップの利用規約を確認し、同意してください。

 

2. セキュリティチェック

• ドメインを確認：URLが airdrop.walletconnect.network であることを確認し、フィッシングサイトを避けてください。
• コントラクトアドレスを確認：エアドロップのコントラクトアドレスが 0x4ee97a759AACa2EdF9c1445223b6Cd17c2eD3fb4 であることを確認してください。

 

3. WalletConnectエアドロップの資格確認

 

出典：WalletConnectドキュメント

 

• 資格がある場合：「Congratulations」のバナーと、WCT割り当てが表示されます。トークン量の下に Claim ボタンが表示されます。
• 資格がない場合：「Unfortunately, you are not eligible for the Season 1 airdrop.」というメッセージが表示されます。将来のエアドロップ通知に登録し、WalletConnectのSNSをフォローして最新情報を入手することができます。

 

4. WCTトークンの請求

 

出典：WalletConnectドキュメント

 

出典：WalletConnectドキュメント

 

• Claimをクリック：Claim ボタンを押して、トランザクションを開始してください。
• ウォレットで承認：接続されたウォレットでガス代とトランザクションの詳細を確認してください。WalletConnect はガス代を補助しますが、ネットワークの混雑状況によっては手動でガスを補充する必要がある場合があります。
• 承認を待つ：マイニングが完了すると、ページが「No More Tokens Available」に更新され、Claim ボタンがグレーアウトされます。

 

WalletConnect エアドロップの詳細とその受け取り方法を深掘り

 

5. $WCTトークン請求後に行うべきこと

• WCTをステーキング：Staking Dashboard にアクセスし、トークンをロックして報酬を獲得しましょう。
• エアドロップの追跡：いつでもエアドロップページに戻って、請求状況を確認することができます。

 

WalletConnect使用時の重要な注意事項

• セッションのタイムアウト：WalletConnectセッションは一定時間の非アクティブ状態（通常15〜30分）で自動的に切断されます。離席する場合は、QRコードを再スキャンするか、ディープリンクを再タップして再接続してください。

 

• 中継ノードへの依存：このプロトコルは、分散型のサービスノードおよびゲートウェイノードネットワークによりメッセージをルーティングしています。ノードの停止やメンテナンスにより、接続の遅延や一時的な失敗が発生する場合があります。

 

• トークンの譲渡不可：WCTトークンは初期段階では取引や送信ができません。ベスティングスケジュールや最終的なロック解除に基づいて、ステーキングやガバナンス活動を計画してください。

 

• モバイル依存性：WalletConnectの多くのフローは、モバイルウォレットを使用してトランザクションを承認します。シードフレーズのバックアップがない状態でデバイスを紛失または初期化すると、dAppやステーキングポジションへのアクセスができなくなる可能性があります。

 

• 承認の慎重さ：dApp名、発信元URL、トランザクションの詳細を承認前に必ず確認してください。フィッシング詐欺は正規のアプリを装うことがあるため、怪しいと感じたらキャンセルして再接続しましょう。

 

今後の展望：WalletConnectのこれから

WalletConnectは、Web3体験をさらにスムーズにするための強力な新機能を展開する準備を進めています。

 

• Link Mode：QRコードを再スキャンすることなく、セッション間を即座に再接続できるようになります。

 

• ワンクリック認証：ワンタップでのログインが可能になり、スピードと利便性を重視するユーザーに最適です。

 

• ウォレット側では、Smart Sessions により特定期間、dAppに署名権限を委任できるようになります。これにより、繰り返しの承認が不要になります。

• Smart Accounts では、支払いのスケジューリング、多重署名ルールの設定、日常的な操作の自動化など、プログラム可能なウォレットロジックが導入されます。

 

その裏側では、WalletConnectネットワークは3段階の分散化ロードマップに沿って進化しています。フェーズ1では、許可されたサービスノードが安定性を確保し、フェーズ2では全ノードにパフォーマンスレポートが公開され、フェーズ3では誰でもサービスノードやゲートウェイノードを運用できる完全なパーミッションレス環境が実現されます。ガバナンスも、財団からWCTトークン保有者によるオンチェーン投票へと移行し、WalletConnectは真のコミュニティ主導型プロトコルとなります。これらのアップグレードが進む中、WalletConnectはウォレット、アプリ、チェーンを統合し、よりシームレスで安全、かつ完全に分散化されたWeb3を実現します。